《MUMEI》
志貴の決断
「最初は俺好みのクールビューティータイプだったんだよ。
でも、夏休み終わった辺りから…何かプライドの高さばっかり変に目立っちゃって、何か…

今はどうでもいい感じ」


(やっぱり似てるな)


最後に冷たく言い切った厳の口調は頼にそっくりだった。


「まぁ、お前にしては珍しく賢明な判断だな」

「な!」

「…そう言えば、本命達が寂しがっていたぞ」

「あ!忘れてた!」


(おいおい)


「じゃーねー祐也! と、志貴も!」


(頼はいいのか)


いろいろツッコミを心の中で入れている間に、厳は慌てて音楽室を出ていった。


「さて、会長さん、どうします?」


頼は何事も無かったかのように、志貴に質問した。


その表情は


ふざけた口調と違い、真剣だった。


数秒間の沈黙の後


「何もしない」


俺のファンクラブの会長として、志貴はそう決断した。


その決断に頼は目を丸くしたが


不思議な事に


そこに不満の色は無かった。


むしろ


「…コエー」


志貴に聞こえないようにそう呟いた頼は


どこか、楽しそうだった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫