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《MUMEI》 遮蔽2充分な時が 流れたはずだった… 稲森直也と、 小林節菜、 久志優作の三人は 幼なじみであった。 互いが互いに 好意を抱いており、 いい関係を 保っていた。 ひとつの事故が、 そのバランスを 崩した。 本当の孤独を知る… 漆黒の暗闇を視る… 無音の恐怖を聴く… 存在の否定。 完全な孤立。 喪失感 虚無感 絶望 失望 死 暗い闇に堕ちた! 心の中だった! 深く暗い… 無意識という名の… 深海 戦う敵がいなかった… 自分と闘おうにも、 存在が無かった… そこに在るのは… 無という概念 誰かを信じる前に、 自分が信じられない… 自分を欺く。 重要なのは、自分が今、どの領域に いるのかだ。 心を 海に例えるのならば… 光射する表面部分が、直也の意識だ。 光のあたらぬ 闇の世界… それが、無意識。 そんな無意識の中にも生きるモノがいる。 むしろ、闇の中にこそ多くの、未知なるモノが蠢いている。 意識内の生物を、 【理性】 とするならば… 無意識内には、 【本能】が生息する。 ひとは、自分が今どの領域にいるかで、世界が違って視える。 ひとつだけ確実に 言える事は、 直也の状態は今、 【心の深海】に 在るという事。 久志が、死んだ。 悲しい… しかし、 無意識の闇の中から…悪魔がささやく… 『良かった じゃないか!』 直也は、驚嘆する! その声は、直也自身のものだった。 悪魔などではなく、 自分の本能。 「何を 言っているんだ?」 刹那、理性が働き、 罪悪感を生む。 しかし、それは届く事はない… まるで、 深海には光が 射し込まぬ かのように。 『お前は 安心したはずだ! これで、節菜は… 自分のモノだと…』 「違う! 久志の死を悔やみ 涙した。 真実の涙だ!」 『真実は、 もっと単純だ。 今、涙を流している 自分は、他者の目に どう映っているの だろうか? 美しい友情だ。 さぞかし、俺の姿は 美しく映っていることだろうと…』 「嘘だ!」 光と影は、表裏一体。 光在る処には闇もまた在りし。 その光が、 眩しく暖かなもので あればあるほど… 生まれ出でる闇は、 重く冷たいものに なる。 「嘘だ!嘘だ、嘘だ…偽りだ!悲しみを 紛らわす為の、虚構の感情に過ぎない。」 『では、 その感情の 産みの親が、 自分自身であるという事実からは、 目を背けるのか?』 「自分を 責めることが、悲しみから逃れる、唯一の 手段…」 『現に今も こうやって、 罪の意識に 苛まれている自分が、 さぞかし美しく 見られているだろうと思っている・・・ お前自身を、否定することさえできずにいるのではないのか?』 「僕は…何故、ここにいるんだ?」 『悲しみの【痛み】 から逃れ、安らぎを 求めたから…』 「心地良いから?」 『心を偽らず 本来の姿で 居れるから…』 ここは、深く暗い… 無意識という名の… 深海 欲望のカオス 戦う敵がいなかった… 自分と闘おうにも、 存在が無かった… そこに在るのは… 無という概念 自由? 万物から 解き放たれた… 究極の自由だとでも いうのか… 人の心は川の流れだ! 山から産まれた 湧き水は、 せせらぎへと… やがて、小川となり…悠々とたゆたう 大河となる しかし、時折… 荒くれた感情が 溢れ返り… 総てを飲み込む 事もある 他者という名の環境が出来始めると、川は… 理性という名の 堤防にて区切られる 環境が 大都市になる程に… 川(心)は汚され… ドブ川と呼ばれる… そして、フタをされ…陽の光の当たらぬ 地下を・・・ 流れてゆく 「ただ、 逃げたかった! 何から? 自由になりたかった! 自由なんてなかった… みんな 気付いてなかった… 俺たちは皆… 檻の中に居ることを! 家庭という檻の中 学校という檻の中 社会という檻の中 生活という檻の中 ひとつの檻から 抜け出せたとしても 人間という檻からは、逃げることなんて、 できない!」 直也は、 心を閉ざした。 |
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