《MUMEI》

『ある日、村に2人の小さな姉妹が迷い込んできました。その青年が2人に話を聞くと、両親が戦で殺され、他に身寄りもなくさ迷い続け、辿り着いたのがこの村だったということなのです。』

『その2人を哀れに思った青年は、自分が責任を持って育てると言い、それ以来2人を引き取って暮らしておりました。』

『自分が妻をとってしまえば、村人は皆が自分を頼りにし自分で2人を育てる時間が無くなってしまう…。最初に自分で育てると言い切った青年は、その事が許せないゆえに妻をとらなかったのです。』

『そんな村にも、何より最大の危機が訪れました。その土地を治めていた領主に、隠れ住んでいた村人の存在がばれ、その力を恐れた領主が皆殺しに使用と大勢の軍を連れて攻め込んできたのです。』

『さすがに青年もこのときばかりは何も思いつかず、考え込んでしまいました。しかし村人達は、青年にばかり迷惑をかけていられぬと立ち上がったのです。』

『返り討ちにしてやろうと意気込む村人達を止めることができず、なんとか死人を出さずに皆で生き延びようとしていた青年も、皆を守るため…幸せを守るために決意を固めました。しかし、一つだけ思い残すことがありました。』

『そう…2人の姉妹のことです。あのときより大きくなったとはいえまだ子供…また2人きりにさせてしまってはいけない。しかし2人にばかり気をかけていられない…そう悩んでいる青年を見た姉妹は、青年に言いました。』

『「今までありがとうございます…私たちなら大丈夫です。それより皆を守ってあげてください。」…その言葉に青年は涙を流し、心配ではあるが2人を安全なところへ逃がすことを決めました。』

『そうして始まった戦…やる前から結果は見えているようなもの、それなりの強さは見せつけたものの人数の差は埋められず、村人たちは次々と死んでゆきました…。』

『女子供関係なく殺され、残ったのは青年一人…。その時です。』

『所詮まだ子供だった2人が、青年の身を案じ戻って来てしまった。それを見た領主は当然のごとく…家来に命じ2人を殺しに向かいました。』

『2人を逃がしたことの後悔に苦しさをにじませながらも、青年は大群を相手に2人を守りきろうと必死に戦いました…』

『しかし青年も一人では…2人を守りきることは叶わなかったのです。』

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