《MUMEI》

「──おおきにな‥」





先生の声が、少しだけ震えている。





「何て言うたらええんやろ‥‥‥、嬉しいを通り越してもうた」





途端に、歓声が上がる。





そんな中、眞野先生に近付いた人がいた。





「‥眞野」

「──萱島‥?」

「待ち兼ねたぞバカモノ」





真顔で言う萱島先生に、眞野先生は苦笑した。





「何や、えらい怒っとるみたいやなぁ」

「当たり前だ。昨日はよくも話の途中で通話を切ったな‥。そういういい加減な所が──」

「おおきにな」

「‥話を逸らすな」

「昨日言うてへんかったやろ? せやから今言うたんや」

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