《MUMEI》
序章・事故
ピーポーピーポー

救急車のサイレンが後ろ
から聞こえた。

前には何十人もの人が、

固まりになっていた。

僕はこの妙な光景に興味

を持ち、前の固まりに飛

び込んでいった。

そして人混みを掻き分け

、気づいたら固まりの先

頭に出ていた。

僕は目の前の光景を見て

、思わず息を呑んだ。

目の前にはちっちゃな軽

自動車があった。

だがただの軽自動車では

なかった。

軽自動車の…軽自動車の

前部がぺっちゃんこに潰

されているのである。

軽自動車に向かい合うよ

うに、大型トラックがあ

った。

現場を見る限り、おそら

くはこのトラックが反対

車線から突っ込んで来て

、軽自動車と正面衝突し

たらしい。

軽自動車に乗っていた人

達は…おそらくは生きて

はいないだろう。

僕はあまりの事故の悲惨

さにその場を後にしよう

とした。

…その時だった。

「どいて早く。道を空け
て。」

レスキュー隊が到着した

のだ。

そのレスキュー隊は到着

するやいなや、大きな金

具を取り出し、軽自動車

の後部のドアを無理矢理

こじ開けはじめた。

「なんでも、トラックが

反対車線から飛び出して

きたらしいわよ。しかも

、トラックの運転手は得

に怪我とかがなく大丈夫

だったらしいけど、軽の

運転手と助手席にいた二

人は即死で…」

横で野次馬精神丸だしな

おばちゃん達が何やら話

ていた。

僕はここまで聞いた時、

やっぱり人が死んでしま

ったかあ、と思った。昔

から他人が死ぬのがすご

く嫌いだった。

だから今回も無事でいて

欲しかった。

人が…人が死んだ時の被

害者は何も死んだ人だけ

ではない。

残された人々も多大な被

害を受けるのだ。


それをわかっているから

死んで欲しくはなかった

のに…そんな事を考えて

いる時だった。

「やったぞ!生きてる」

その言葉を聞いた僕は、

すぐさま壊れたドアの近

くに移動した。

「な、なんだ君は?危な

いから下がってなさい」

顔もはっきりと分かるく

らいに近くに来てしまい

、レスキュー隊の人に怒

られてしまった。

近くで僕が怒れてると、

中に閉じ込められていた

人が完全に救出されたら

しく、運び出されるとこ

ろだった。

ちらっとだが、運び出さ
・・・ れる女の子の顔がみえた。

それは見覚えのある顔だ

った。

「月見!」

思わず大声で叫んでしま

った。

すると近くで僕の事を叱

ったレスキュー隊員がい

きなり…

「君!」

話かけてきた。

「なんですか?」

と僕が聞くと、驚くべき

事を言われた。

「彼女と知り合いならそ

の…なんというか、一緒

について来てくれないか

。そうしてくれるといろ

いろ助かる。」

この時僕は思った。

ああ、なんか面倒事に巻

き込まれたなと。

僕は正直言って面倒臭か

ったので返事を悩んでい

たが、

「そうか、それは助かる

。」

と、何故(?)だか勝手

に良いように解釈され、

そのまま救急車に拉致ら

れたしまった。

しょうがない(?)ので

僕は叫んだ

「聞く必要なかったじゃ

ん」と。

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