《MUMEI》

「おはよ〜!!」

「今日1時間目なんだっけ〜?」

朝、生徒たちで賑わう中、珠美は校門の前で立ち止まった。

うわぁ〜なんか緊張するなぁ・・・。
どっか変なとこないよね?

珠美はスー、ハァ、と深呼吸をした。

「よし!!」

力強く意気込み、1歩踏み出した。

すると前方に特徴のある黒髪の生徒が歩いていた。

あ、佳緒だ!!

珠美は佳緒のもとへ走って行った。

「おはよ〜佳緒!!」

「あ、おはよー、って珠美!?」

佳緒は珠美の昨日までと違う姿を見て驚いた。

「うー?やっぱ変!?」

傷つくなぁ〜。

しゅんっとしている珠美を見て、佳緒は慌てて弁解した。

「ち、ちがうわよ!!本当に可愛くなったからビックリしたの!!」

珠美は気がついていなかったが、男子は珠美を見て思わず振り返ってしまっていたのだった。

「うん〜?実はね・・・っだめだった!!」

言っちゃいけないって言われてたんだったぁ〜!!
ど、どうしよう・・・。

「何よ?イメチェンしたんでしょ?」

「あのねぇーえーっと・・・そう!!イメチェン!!美容師さんに進められたの!!」

しどろもどろながらも、珠美は精一杯答えた。

すると、聞きなれていた声が聞こえた。

「おー珠美じゃん!!お前すっげー可愛くなったな!!」

「久我君!!」

珠美に声をかけたのは、久我だった。

「久我・・・あんたねぇっ!!」

「佳緒!!」

今にも久我に掴みかかりそうな佳緒を珠美は慌てて止めた。

ここでこんなことされたら、作戦失敗だもんね!!

「く、久我君!!お昼いつものとこでいい?」

「おぉ〜!!すっげー楽しみ♪」

珠美に答えて、久我は友達のところへ走って行った。

「ちょっと珠美・・・」

「大丈夫だよ!!お願い、見てて、佳緒」

心配そうな佳緒に、珠美は手を合わせた。

「なんかあったらいいなよ?」

佳緒は不満そうだが納得した。

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