《MUMEI》

本題?…あ、ボク力のことを聞きに来たんだった。

『村に伝わっていた不思議な力…それは、ある【言葉】を操る力だ。』

「言葉を…操る?」

『そして…陸、そなたの力は【切る】という言葉を操る力が与えられた。』

「【切る】…力…。」

『操るとは…その名の通り自由に操ることだ。可能性は無限大…どう使うかによってその力は変化する。』

「操る…か。それどうやって使えばいいんですか?切るのを操るっていうのはどういうこと?」

『…すまないが、これ以上のことは教えられないのだ。』

『もともと力の無い私たちには、【その人の持つ力の種類を教える】ことしかできません。』

そっか…そういえばそうだったな。…あれ、んじゃなんで力を教えてるんだろう?力を与えたのは棗さんや雪さんじゃないってこと?

『何の因果か…陸、そなたには辛い運命を背負わせてしまったのかもしれない。力になりたいが、私たちには何も…』

辛い運命?どういうこと?なんだかわかんないことだらけだ…。

「なんだか力の種類がわかった代わりにわかんないこといっぱい増えた感じがする…」

『何も答えられず…本当に申し訳ありません。』

そう言って雪さんは申し訳無さそうに、僕に向かって頭を下げてきた。

「あ、いや…あ、あの、ゴメンなさい!」

…謝らなくていいですよ、って言おうとしたのにボクが謝ってしまった。ボクのバカァ…

『やはり…陸様は可愛らしいですね。』

…そんなほんのり顔を赤く染めないでください…。

『そういう陸は顔が真っ赤だぞ?』

うわぁ…ここにもボクの心読む人いた。ボクってサトラレかなんかなのかな…?




『…どうやらお別れのようだな。』

え?あ…なんだか2人が透け…いや違う、ボクが透けてる…?

「え、あ、ボク…」

『大丈夫…自分を信じるんだ。私たちは…陸を信じている。』

『陸様こそ…いや、今は言わない方がいいですね。頑張ってください。』

2人が笑って手を振っている。そんな、まだ聞きたいことが…。…ダメだ、もうすぐ消えるみたいだ。

「あ、あの!また、ご飯食べに来ますからー!」

最後にそう叫んだボクの目に、微笑んだ2人の顔が見えたかと思うと、すぐに見えなくなり、そして…。

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