《MUMEI》

「んぁー…幸せ…。」




ボクと海は今、ファミレスでパーティーという名の、ただの食事をしに来ている。このファミレス家から5分の場所にあるのになぁ…?




「ほらぁ、口にクリームくっついてるよ?全く…。」




来て早々、2人で仲良くハンバーグセットを注文し、すぐに完食をしたボクらは現在デザートに突入したところだ。




「だってぇ…甘くておいしいんだよ?仕方ないんだもん…」



…え?彼女が美味しそうにデザート食べてるからいいじゃないかって?あ…いや実は…




「全く…陸ってちょこちょこ女の子みたいな時あるよねぇ…。」

ため息をつきながら呆れ顔でこっちを見る海。…そう、いま口にクリームつけてデザートのパフェを堪能してるのはボク。ちなみに海はハンバーグセットで満足したのか、今は何も注文せずにボクのことを見てる。

「海も食べればいいのにぃ…。あ、ボクのはあげないからね!?」

「ハイハイわかってますよ。あたしはお腹いっぱいで満足したからいーの!お金あんまないし。」

あ…ボクもあんまないや。足りるかな…。

「まぁここなら心配無いけどね。それよりさ、もう一回やって見てよ!さっき何が起こったかよくわかんなかったし?」

そう言って、海はカバンの中から、今日返された数学のテストをボクに差し出した。

「これはさすがにまずいんじゃ…」

「いーの!んじゃさっさと処分…いや、もう一回切ってみて!紙ならすぐ切れそうだし♪ね?」

仕方ないなー…。とにかくボクは、もう一度指先に意識を集めながら、紙の真ん中を通るように上から下へ人差し指を滑らせた。

「…ふぅ。これでどぉ?」

「うーん…見た目には何も変わらな…あっ!」

…今度はちゃんと切れてる。そしてついでに、さっきの石の理由もわかった気がする。

「これさぁ…もしかして、さっきの石はキレイに切れすぎて離れなかったってことなのかな?」

「かもねー…。ま、なんにせよ陸の力は何でも切る力だってわかったね♪」

何でも切る力かぁ…なんか怖いなぁ。何でもってことは人も切れるってことだよね?

「なんだか怖いなぁ…この力。」

「大丈夫!陸はそんなことに力使わないってあたしはわかってる♪使いそうになったらその前にあたしが陸をぶん殴る!」

…こ、怖い。

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