《MUMEI》

──夕方。





オレと卯月だけはまだ、

体育館に残っとった。





「先生──楽しかったですか?」

「楽しかったで。──ほんまに楽しかった」





こないに楽しい思たんは、久し振りやった。





みんなも楽しそうやったし──元気そうやったから安心した。





「今度は──オレが楽しませたる番やな」

「ぇ」

「楽しみにしとってな、卯月」

「──無理、しないで下さいね?」

「大丈夫やて、心配せんとき。オレはもう大丈夫やから」





せやから、お詫びさせてや。





──お前の事、楽しませたるから。

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