《MUMEI》

「卯月はどんなんがええんや?」

「──ぇ、私ですか‥?」

「卯月が乗りたいもんやったら、何でも付き合うたるで」

「ほんと‥ですか‥?」

「ほんまや」

「──じゃあ‥‥‥えっと‥、あれ‥」

「よっしゃ、ほな行くで〜?」

「ぇ、‥ゎ‥ッ」





引っ張られた。





先生が、私を引っ張っている。





「先生‥っ、あの‥」

「? ‥ぁ、痛かったか‥?」

「──ぃぇ、そうじゃないです‥」





ただ何か、ドキドキして仕方ない。





「なぁ──」

「はい‥?」

「馬、どれに乗ろか」

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