《MUMEI》

「ほな、次は何がええ?」

「──先生は何か乗りたいのありませんか?」

「オレか‥?」

「はい」

「オレは──‥そやなぁ‥」





先生は、

珍しく難しい顔をして唸る。





「──よし、あの汽車乗ろか」

「あれ──ですか?」

「結構楽しいと思うで」

「──はい」





先生って汽車とか好き‥なのかな。





「──おっ、本格的やなぁ──」

「ほんとの汽車みたいですね」

「ほんまや」





先生は、無邪気に笑う。





あの頃と、変わらない笑顔で。

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