《MUMEI》

…ビシ?不思議に思ったボクは、目線をさっきのレシートに向けた。

あっ…!破れてる!これは…なんか無理矢理破ったような感じ…?

「どうよ、オレの力。」

あっ、空くん戻ってきた!

「ねぇねぇどうやったの!?ボク持ってたのに気づかなかったよ?」

「あぁ、それはだなぁ…」

「【投げる力】…。」

へ?海はわかったの?

「ほぉ…よくわかったな?結構本気でなげたけど。」

「あ…っと、それはね、これ!」

そういって海は後ろの地面を指差した。…?なにもないじゃん…?

「…おまえすげぇな。普通見えな…あ、そういや海は普通じゃな…ごふぅっ!?」

し、瞬殺!!…うん、きっとうちの母親でも敵わない。早くも世代交代ってやつか…。






…あぁぁぁあ…海がこっちを見てるぅぅぅ…死ぬ瞬間ってやっぱわかるもんなんだな…

「…ちょ…待っ…ぐはぁ!!」

…読んでくれたみんなゴメンなさい…も、もうだめ…。




―――――――――




「…あ。2人とも気絶しちゃった…。」




やり過ぎたかなぁ…まだ一発ずつしか殴ってないのになぁ。

「…ふぅ。それにしても…」

そういった途端、どこからともなく神秘的な空気が海の周りを包み込む。

「…これも運命なのでしょうか。この2人が…よりにもよってこの2人が…。」

人が変わったような雰囲気を醸し出し、遠くを見つめるような悲しい瞳で2人を見つめる海。

「今は…信じるしかないのですか。私たちに出来ることは…。…無力ですね。私たちは…。…ねぇ、お姉ちゃん?」

…そう呟いた海は、そばに横たわる陸の髪を撫でながら、優しく微笑んだ。

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