《MUMEI》

卯月と2人で、アトラクションの汽車に乗っとる。





「楽しいやんなぁこれ──」





眺めもええし──。





「先生」

「今は先生て呼ばんでもええで?」

「ぇ」

「眞野っちでもええし」

「ぃ、ぃぇ‥」





卯月は恥ずかしいんか、俯いてもうた。





「無理せんでええからな。呼びたなったらでええねん」

「はい──‥」





控え目に頷いて、卯月は頬にかかった髪を掻き上げた。





「お、かいらしいヘアピン付けとるやん」

「ぇ」

「よう似合うとるで」

「───────」





卯月は、

また俯いてもうた。

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