《MUMEI》

「あの──‥」

「ぇ、何や?」

「腕──借りていいですか?」

「腕‥?」





訊き返すと同時に、

卯月の両腕が、

俺の右腕に巻き付いてきた。





「‥ぁ‥、嫌ですか‥?」

「──ぃゃ、嬉しい」

「嬉しい‥?」

「せや」





嬉しいんやで、オレ。





「──先生って──あったかいですね」

「───────」





あったかい、か──。





──そうやとええなぁ。





「先生」

「ん‥?」

「観覧車──乗りませんか?」

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