《MUMEI》
気まぐれに出没
「祐也先輩いますか!?」


(何でここに!?)


俺は屋上入り口から死角になる位置にいたが、慌てて起き上がり


叫んだ女子


奈都を警戒していた。


(何で今日に限って…)


奈都は俺にベタベタせず


たまに教室に来たり


図書室に顔を出したり


体育館で会った時に話しかけたりしてくる程度だった。


それから、メールも一日一回


俺が忍にするような一日の報告メールが来るだけだった。


そんな奈都の様子に、志貴は何か気付いているようだったが


俺はさっぱりわからなかった。


わからなかったし、あまりベタベタしなかったから、奈都に注意する事も無かった。





(ヤバいな…)


今日は俺にとって特別な日


俺を探す奈都の声が、耳障りで仕方ない。


屋上には、隠れる場所がほとんど無い。


軽く見回せば、すぐに


「祐也…先輩?」


(ほら、見つかった)


そして、笑顔だった奈都はいつもと違う雰囲気の俺に戸惑っていた。


(そのまま、帰れ)


俺は願いを込めて、奈都を睨みつけていた。

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