《MUMEI》

あ、どうも初めまして。空です。いつもは陸がやってる?らしいけど、あいつ今使いもんにならないからオレが代わりにって…。よくわかんねぇけどよろしくっす。

「…。」

「…。」

んで…ダメだ。2人ともどっかいっちまってる。よくぶつかんねぇで歩けんなぁ…街灯いっぱいあんのに。

「あたし…幸せ…♪」

海なんかものっすごいツヤツヤした顔で辺りにハートばらまいてる。幼馴染みのオレとしては、気持ちわるいの一言につきるな。

「…あぁん?」

…うわっ、海が…いや、魔王が目覚めた!?つーかオレ今喋ってなかったよな!?

「だてに魔王やって無いわよ!死ねぇーーー!」

認めてんじゃーーーん!!つーかオレまで殺されたら主人公海だけになっちまうな…何とかしねぇと!

「お…落ち着け海!これでどうだ!?」

「言い訳無用!あたしの幸せをバカにした罪は…いやぁぁん♪それちょーだい!!」

「くれっからさ、とりあえず落ち着けな?…はぁ。」

なにをあげたかって?…中学の修学旅行のときに2人でとった写真だよ。ただまぁ…オレらちょいとばかしアルコールが入ってて、性格変わる陸がおかしくなってたから、なぜか陸だけ全裸なんだけどな。アイツ酔っ払うと脱ぎ出すってあん時初めて知ったよ…。

「パソコンに取り込んで焼き回して…いや、おっきくして部屋のドアに貼るのもいいわね。あ、でもそしたら陸にバレちゃうな。うーん…」

…ゴメン、陸。オレお前をを売っちまった。ただ…オレの心は晴れ晴れしてるから許してくれ。

「さて、海!ちょっといいか?」

「何!?もうもらったんだから返してあげないんだからねっ!」

海…別にいいけどさ、オレにはお前がストーカーにしか見えなくなってきたわ。いや、本人公認のストーカーか?陸も大変だな…

…バキィッ!

ヒッ!?が、街灯折りやがった!?え…えと…海は何て素敵な彼女なんだろう陸はすごく幸せものだなー…

「照れるなぁもう♪」

「いでっ!?どっちにしても殴んのかよ…。まぁ、とにかくまず今の状況を整理したい。一旦ファミレス行こうぜ?店長に言ってあるから何かしら食わしてくれるし。」

「ホント!?…あ、いや…そうね。一度整理した方がいいもんね。それじゃいきましょ♪れっつごー!」

ごまかさなくていいのにな。逆にバレバレだ。オレは…ホントにこいつらの面倒は大変だと、改めて思いため息をつきながら、ファミレスへ向かった。

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