《MUMEI》

「お、いらっしゃい。」

「こんにちはー♪」

「ちわっす、店長。」

店に入ったとたん、偶然にも店長が迎えてくれた。みたところそんなに客は入ってない。まぁ昼飯と夕飯の間くらいだしな、今。だいたいこんな住宅街にあるファミレス使うのなんてあんまいねぇか。

「少ないっすねー…客。」

「痛いとこつくねぇ…。まぁウチの客なんて君たちみたいな高校生が大半だからねぇ。あ、好きなとこ座っていいよ!とりあえずなんか飲む?」

「オレはアイスコーヒー。」

「あたしと陸はアイスココアで♪」

「わかった、今メニューと一緒に持ってくからね!」

そういって店長は店の奥に行った。陸が死んでることは疑問に思わねぇのか?言ってなかったけどさ、ずっとオレかついでんのに。

「なに食べよーかなー♪」

お前の頭ん中は陸と食べ物でいっぱいだな。…気づいたんだけど、陸がいないとまともな会話できねぇのな。…店長?そのうちボロが出るさ。

「ハンバーグー♪グーラータン♪あ、んがついちゃった…」

食べ物でしりとりしてるよ。コイツ何しに来たのか覚えてんのか?

「おまたせ、アイスコーヒーにアイスココア2つね。注文何にする?1品サービスするよ。」

そういって店長はオレにメニューを渡す。…いつも思うけど、ここ絶対ファミレスらしくねぇ。サービスってありえねぇよな?

「あたしおっきいハンバーグ!」

子供か。メニューの意味ねぇじゃん。

「おっきいハンバーグ…と。あ、やばいヨダレが…」

いいのかよ。つーか汚ぇなデブ店長。

…そう、実はここの店長体重150kgの天然記念物級デブだ。この人の前で肉の話をすると目付きが変わるのをオレは知っている…。

「じゃあオレは「ハンバーグー♪」…シーフ「ハンバーグー♪」…ハンバーグで。」

「サイズは?」

「ふつ「おっきいハンバーグー♪」…もういいやそれで。」

「おっきいハンバーグ2つね。陸くんは…って、彼どうしたの?干し肉みたいになってるけど。」

コイツ口からヨダレたらしまくってやがる…もうハンバーグっつう肉の衝動抑えるのに必死だな。

「あー…っと、気にしないで下さい。ちょっと血が足りてないだけなんで。」

「うん、それなら肉だね!おっきいハンバーグ4…いや3つ、と。んじゃ待っててね。」

…陸、早く起きてくれ。オレはもういろんな意味で限界だ…。

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