《MUMEI》
裏切り物
独特のV8サウンドを響かせ、
夜の街を疾走する
 
追尾車両が居る
 
公安の奴だろう…
 
俺は、気にせず、走った
 
首都高から東名高速道路へ 
水無月「どこまで行くの?」
 
雅治「なぁ、水無月…」
「お前は、どんな結末を望んでるんだ?」 
 
水無月「…なに?、突然に…」
 
雅治「俺はな、…改革派も、保守派も、どうでもいいんだ…」
 
水無月「……」
 
雅治「悪魔の薬なんか有るからいけないんだよ…」
 
水無月「何が言いたいの?」
 
雅治「お前は、何が望みなんだ?」
 
水無月「…望むものは、手に入らないけど…」
「責任はとらなくちゃ…」 
雅治「……」
 
意味は伝わらない、会話だった
 
けど、本音だった気がした 
厚木から、小田原へ続く
有料道路、
直線がつづく
 
俺は、追走車を、振り切るように、アクセルを踏んだ 
メーターがあっという間に右を向く
 
吠えるような、甲高い音を響かせ、
深紅のボディーは、空気を切り裂き、走った
 
 
箱根の温泉街近くの民家に、車を入れた
 
静まり返った、山に、V8サウンドが響いてた
 
真っ暗な民家
 
庭の手入れもされてなく
 
人の気配は無い
 
灯籠の中に、隠してある鍵で、中に入る
 
水無月「意外と中は綺麗なのね」
 
俺は、返事もせず、ジェラルミンケースを開け、
ベレッタを点検し、弾を込めた
 
ロングマガジンに20発
 
水無月「…」
 
雅治「確かめなきゃな…」 
水無月「ここに有るんじゃないの?」
 
雅治「…あるよ…」
 
畳を捲り、敷き板をずらした
 
小さな木箱を取り出した
 
雅治「これだよ、中身を確認してみな」
 
水無月が開けた
 
俺は、さらに奥にある、バックパックを取り出した
 
水無月「ノートに数式や、図形が記載されてるわね…」
 
雅治「古いノートだ、気を付けて扱えよ、直ぐに破れる」
 
水無月「そのバックは?」 
雅治「完成品…」
 
俺は、窓の外を見た…
 
暗闇に、映る物はない…
 
雅治「行くぞ…」
 
水無月「…うん…」
 
シートの後ろの狭い場所にバックパックと木箱を置いた
 
来た道を、戻る
F430
 
時計は午前3時を過ぎていた
 

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫