《MUMEI》

「…さて。つまりVerbっていうのは、自分が持つ【動詞】…つまり述語に、何か主語を付け加えて出来た文を現実に必ず実行する力ってわけよ。わかったかな?」

「よくわかりました。しかしすごいっすね怜先輩。」

「ん?何が?」

「だってここまで調べてるなんてすごいっすよ。オレらなんかよくわからずに遊びに使ってたくらいですから。」

「あら…それじゃ気をつけた方がいいわよ。」

「…どうゆうことすか?」

「こんなに便利な力を悪用しないわけがないじゃないの。当然、何かしらの犯罪に使われるわね?」

「そうですね…普通ならそうするでしょう。オレはしませんけど。」

「そこで邪魔になるのは…それを快く思わない、あたしたち同じ使役者ってわけ。実際あたしも何度か狙われたわ…。」

そういって俯く怜さん。今のはわかったぞ!わかった…それだけに、どうしても恐怖を感じてしまう。

「あうぅ…。」

「大丈夫♪陸くんは強くなれるわ。もちろん、2人もね♪」

そ、そんなこと言ったって…ボクのVerbなんて指がハサミになったようなものだし…

「何言ってるの、それだけなわけないじゃない。もちろん同じ直接型の使役者として、アタシが強くしたげるわ♪」

…ホントに?これだけじゃない…?ボクはまだ強くなれる…?

「強く…なれますか?」

愛する人を…海を守れるくらい。イマイチ危ないって実感はまだないんだけど。

「アタシに任せなさい♪死なない程度にしごいてあげる…♪」

…あれ?ボク強くなる前に死…

「…陸、一つ教えといてやる。」

「何?空くん。」

「怜先輩…元ヤンキーの女総長だ。」




…イヤァァァァァァァァァア!!

「あら、照れちゃうわ♪」

チゲェェェェェェ!誉めてないよ、ボク誉めてないよ!?命の危険を感じてるの!そこ読み間違えないで!?てか読めるんだ!読めちゃうんだ!?

「あ、遺書はいらないわよ?殺さないから安心して♪さーて、久々に腕が鳴るわぁ…。」

目…目が…目がギラついてるぅぅぅぅぅ!!

「父さん…母さん…さようなら…。」

あぁ…一筋の涙がボクの頬を伝って行く。最後の涙かな…。

「口に出てるわよ?もぉ、遺書はいらないって言ってるのに。…あ、そこでよ。3人を友達に紹介したいんだけど、どう?」

友達…?あ、さっき言ってたVerbのことについて調べた人か。…ぜひ会ってみたい。きっとすごい人なんだろうなぁ…。

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