《MUMEI》 ◇観覧車を降りた頃には、もう夕方で‥‥‥沢山いた人達も、帰り始めていた。 「──早いですよね」 「?」 「時間が経つのって──」 「そやなぁ、ほんまや」 「あの──‥」 「ん?」 「ありがとうございました」 「オレの方こそ、おおきにな」 ニッコリ笑って、先生は言った。 「さて──‥。ほな、記念に写真撮っとこか」 「写真‥?」 「オレ、いっぺんこれ使うてみたかってん」 先生はポケットから、携帯電話を取り出した。 「──ほな、撮るで〜?」 「ぇ、先生‥」 効果音が、鳴った。 前へ |次へ |
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