《MUMEI》

「一人で暮らしたいんだ。」

意外そうな口ぶりだ。


「皆そうだろ。家族は色々煩わしいんだ。」


「俺は一人っ子でずっと親と離れて暮らしてたから家族団欒とか憧れる。」

仕事上の都合で離れて暮らしていたのだろうか……哀愁漂わせて高遠は笑う。


「兄弟なんて居たってうざったいだけだ、兄貴なんて母さんより口煩いし。」


「でも、やっぱりいいよ、家族は。帰って来たらハグもキスも出来る。」

……なにその欧米アクション。


「そんなことしてんの?」


「して欲しい?」

人差し指を口許に運んで色香を漂わす。


「阿呆。あ、ランチセット二つ」

そんな気持ちをはぐらかしてオーダーしておく。


「クリームソーダも」

袖口を引いてねだられる。


「……クリームソーダ一つ」

完全に財布だ。
倍にして返して貰わなければ。

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