《MUMEI》

俺はバックパックを背負い、木箱とジェラルミンケースを抱え、
慎重に、車から、降りた
 
水無月も、続いて、降りた 
直ぐそばに、事務所棟がある
 
そこしか、逃げ場は無かった
 
建物の中なら、少なくとも、狙撃される心配は無い、 
だが、それすら、相手の計算に含まれてたんだ…
 
久保田「お久しぶりです、水無月様」
 
雅治「久保田!…」
 
5人のチンピラを引き連れて、久保田が部屋で待ち構えていた…
 
 
久保田「ここなら、邪魔は入りません…」
「倒産した生コン屋ですから…」
 
雅治「……」
 
水無月「久保田、何故?」「お金?…」
「貴方が、裏切るなんて…」
 
久保田「お金は二の次ですね」
「私は、腐った日本を再生させるんです…」
 
雅治「確かに腐ってるが……再生出来るかねぇ…」
 
久保田「民衆は、腐ってても構いません」
「軍の無い国は、外交手段が乏しいのですよ…」
 
雅治「日本軍を作る…か…」
 
久保田「ムダ話しは、もういいでしょう……」
「水無月様、こちらに加わるなら、見逃しましょう…」 
 
水無月「断ります…」
 
久保田「…そうですか…残念です…」
 
チンピラ1「じゃあ、俺達が頂くか、」
 
チンピラ2「上玉だぜ、」 
チンピラ3「擦り切れるぐらい、可愛がってから、殺してやりますよ」
 
チンピラ1「やりながら、首を絞めると、最高の絞まりになる…」 
 
俺は銃を握る手に力を込めた
 
久保田「ムダですよ…」
「ここに居るのは、皆、軍人です…」
 
雅治「……チンピラに、見えたんだがな…」
 
チンピラ2「お前、楽に、殺さないぜ!」
 
久保田「私は、席を外してましょう…」
「水無月様の、不様な所、見たくありませんので…」 
久保田が、部屋を出ようとした
 
雅治「待てよ、久保田」
 
久保田「命乞いですか?」 
雅治「どうせ、死ぬなら、真実を知って死にたいね…」
 
俺は、ポケットから、
ティッシュに包んだ、
白い粉を、口に、含んだ… 
久保田「完成品ですか?」 
雅治「恐怖も、痛みも、感じなくなるそうだ…」
 
俺は、バックパックを、部屋の真ん中に投げた
 
雅治「やるよ…」
「…久保田、教えてくれ…」
 
「保守派の奴らを、殺害したのは、お前達だよな?」 
久保田「まぁ、そう言う事になりますな…」
 
雅治「美樹を拉致したのも、お前達か?」
 
チンピラ1「あのヤリマン女か…」
「100人以上に、やられてたぜ1日で………!…」
 
チンピラ1の顔が変わった 
バックパックの中を見て
 
チンピラ2「それでも濡れてたからな!」
「スゲー薬だぜ!」
 
ヘラヘラと、馬鹿にした様に、話すチンピラ…
 
チンピラ3「おい、どうした?」
 
チンピラ1の様子を見て、チンピラ3も、カバンの中を見た
 
雅治「久保田、動くなよ…」
 
久保田の顔つきが、変わった
 
チンピラ4「プラスチック爆弾……」
 
チンピラ5「…で、でかい…」
 
雅治「流石、軍人さんだねぇ……」
「戦車どころか、この建物さえ…残らない、量だ…」 
俺が、無線のスイッチを押すと、カチッ!と、音がした
 
「!!!」
 
雅治「セーフティーロックを外した…」
 
久保田「…こんな物まで……あんた、何者ですか?」 
久保田の顔は恐怖ではなく、俺に向け、殺気だっている、顔だった…

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