《MUMEI》 ハナのお陰「何だ‥? 今の‥」 “行ったみたい‥” 「行ったって‥どこにだ‥?」 “‥‥‥‥‥‥‥” ハナは答えない。 その代わり、 小さな手を、 しゃがんでいる俺の頭に乗せてきた。 “まだ頭痛い‥?” 「‥ぇ、ぃゃ‥もう何とも‥」 頭が割れるような痛みが、 いつの間にかなくなっていた。 「‥何でいきなりいなくなったんだ‥?」 分からない。 ただ‥ 助けられたような気がする。 「──ありがとな、ハナ」 “──ぇ” 「ハナのお陰で助かった」 “違うの、ハナは何も──” 「よしっ、今度こそ手毬見つけるからな」 早く見つけて、 安心させてやりたい。 行くべき処へ── 行かせてやりたい。 前へ |次へ |
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