《MUMEI》
寝言?
ハナは安心したのか、

俺におぶわれたまま眠ってしまった。





「───────」





この穏やかな寝顔を見てると、

本当にこの子がまだ小さいんだと気付く。





見た目からすると‥

まだ小四位。





こんな小さい子が、

こんな森で何年も‥

独りで探し物をして。





緋色の着物も、

袂や裾がほつれているし‥

草履も、

鼻緒が切れそうだ。





体は、

恐ろしく細い。





けど、

黒髪だけは、

綺麗に切り揃えられたまま──。





“──お兄‥ちゃん‥”

「ぇ」





‥寝言か‥?





“お兄ちゃん──大好き‥”

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