《MUMEI》

兼松は〆華に動揺を悟られまいと、当たり障りの無い札を張った。



『…そうか…気の毒にな…。』



ありきたりな慰めを言って取り繕うも、これまで露呈し続けた兼松の人間性からすれば、それこそ不自然過ぎる言動だ。



『いえ…私こそ暗い話題を…。』



〆華は詫びの言葉も底底に「桜に幕」を取ると、返しの札で「菊に盃」を引き当てる。



『勝負…花見…5文…』



…さらりと宣言した。



兼松の表情が僅かに曇るものの、二人の間に流れる重苦しい空気が、悔蔑の言葉を自重させた。



8月… 〆華 6―41 兼松



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