《MUMEI》

「ホントですか?」

空くんが言う。ボクらとしては願ってもない話だ。いろいろ教えて欲しいしなぁ…。

「うん。実は…あ、そろそろ仕事に戻らなきゃ!また今度空くんにメールしとくわ。それじゃごゆっくり♪」

「…あ、はい!怜先輩ありがとうございます!」

そういって、怜さんは今来たばかりの高校生のところに向かった。

「…怜先輩行っちゃったな。」

「…うん。」

「とりあえず一回整理しましょ?頭が混乱しそぉ…。」

そうだなぁ…。ただ、残念ながらボクはすでに混乱してる。だって難しくて…空くんはやっぱりすごいなぁ。

「まぁ…まだわかんないことはいっぱいあるが、間違いないことが2つある。」

間違いないこと?なんだろう…。

「1つは、オレたちは岡の大樹にまつわる不思議な力、Verbを手にいれた。もうひとつは…。」

そういって、空くんが俯く。そして…消え入るような声で、こう呟いた。

「誰かもわからない…不特定多数の人間に…。命を狙われてるってことだ…。」

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