《MUMEI》

「こんぐらいで、怪我なんてしてるわけねえよ。なあ?」
「あ、ああ。俺は平気だけど、おまえこそ大丈夫かよ? この車、おもいっきり弾当たってただろ。フロントガラス吹っ飛んでるぞ」
「ああ、そうだな。車はもうダメだ。これで走ると目立ちすぎる」
「いや、そうじゃなくて。おまえは怪我してないのかって」
ユウゴが聞くと、織田は小さく頷いた。
「大丈夫だ。運が良かったんだろう」
それでもあの銃撃の中、無傷で車を走らせ続けることができるのだろうかとユウゴは首を傾げる。
その疑問を読み取ったかのように織田は「堂々としていれば、逆に当たらないものだ」と答えた。
「そうだぞ。奴らが撃ってきたら逆に向かっていった方が意外と生き残れるんだ」
後ろでケンイチが言う。
「あいつら、俺たちが向かっていったら大低、戸惑って狙いがブレるんだぜ」
そう言ってケンイチは面白そうに笑った。
「……なんつーか、おまえら、頭大丈夫かよ」
呆れ気味に呟くユウゴにケンイチは肩をすくめてみせた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫