《MUMEI》 「こんぐらいで、怪我なんてしてるわけねえよ。なあ?」 「あ、ああ。俺は平気だけど、おまえこそ大丈夫かよ? この車、おもいっきり弾当たってただろ。フロントガラス吹っ飛んでるぞ」 「ああ、そうだな。車はもうダメだ。これで走ると目立ちすぎる」 「いや、そうじゃなくて。おまえは怪我してないのかって」 ユウゴが聞くと、織田は小さく頷いた。 「大丈夫だ。運が良かったんだろう」 それでもあの銃撃の中、無傷で車を走らせ続けることができるのだろうかとユウゴは首を傾げる。 その疑問を読み取ったかのように織田は「堂々としていれば、逆に当たらないものだ」と答えた。 「そうだぞ。奴らが撃ってきたら逆に向かっていった方が意外と生き残れるんだ」 後ろでケンイチが言う。 「あいつら、俺たちが向かっていったら大低、戸惑って狙いがブレるんだぜ」 そう言ってケンイチは面白そうに笑った。 「……なんつーか、おまえら、頭大丈夫かよ」 呆れ気味に呟くユウゴにケンイチは肩をすくめてみせた。 前へ |次へ |
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