《MUMEI》 「千秋様……、あの、これはなんでしょうか。」 体にコードのようなものを巻き付けられた。 「……すぐ分かる。」 千秋様は僕にコードを巻き付けたまま服を着るようにおっしゃるのでその通りにした。 朝練なのでジャージだ。 校舎の周りを沢山の人が走っているのを見掛けた。 中等部のジャージだったので千守さんだ。 大学生の人達は見ると必ず手足に重りが付いている。 僕達は文芸部の部室に志雄君と志島螢さんと楠先生という少人数での集合だ。 「運動会……ということだが、校内を開放して行う。大学の地図は頭に入れておくように。」 千秋様から地図を配られた。 「無茶だ……運動会は明日だろう?この学校の広さどれくらいあると思ってるんだ!」 螢さんが異議を申し立てる。 「志島は馬鹿だな、こんな無茶振り、下僕冥利に尽きるじゃないか。」 「俺は通院時間に間に合うように4時には帰れればそれでいいです、それ以上は求めないんでどうか構わないで下さい。」 各々、考えが違うようだ。 「心配無い、それまでには病院だ。」 氷室様はお優しい、先に楠先生が帰れるように配慮して下さるんだ。 「千秋……そういえば勝ったら何を頼むの?」 螢さんが言っていて気付いた、この運動会で勝ったら好きなお願いが叶うんだ。 「それは決めてある。」 千秋様は小さく微笑んだ。 「寒気してきた……」 楠先生は風邪気味のようである。 前へ |次へ |
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