《MUMEI》
思いがけぬ相手
「…であるからして〜…ここは…となる。じゃあ…加東!」

「…。」

「おい、加東!」

「…あだっ!?」

「そんなに外の女子が気になるか。」

「あ、いやそんなんじゃ…あうぅ。」

クラス中から大爆笑が起こる。





怜さんに話を聞いたあの日から、ボクはずっと考えていた。なぜVerbが急にいろんな人に?何か意味があるんだろうか…?それに、Verbを悪いことに使っている使役者…つまり、ボクたちの命を狙う人はどのくらいいるんだろう。そして…なんでボクだけ棗さんや雪さんに出会ったんだろう…。

「…。」

「…加東!?」

「ハ、ハイィッ!?」

「お前…放課後オレのとこに来い。…楽しみに待ってろよ?」

あ…。ドンマイ…ボク。あの先生怖いんだよなぁ…。

「それじゃ…加東の代わりに須藤、答えてやれ。」

「うっす。そこは…」

毎日起きて、学校に来て、授業を受けて家に帰る。平凡でつまらないかもしれない。けど、それが普通だと思う。そんな普通が…Verbを手に入れたことで…死ぬかもしれない危険な毎日に変わってしまった。…どうなってしまうんだろう。ボク…怖いよ。






「陸…。」

陸が怯え、怖がっているその様子を、海はじっと見つめていた。





キーンコーンカーンコーン…


「はぁ…。」

いろいろと…憂鬱だなぁ。

「やぁーっと放課後だぁ!陸、早く帰ろ…って、呼ばれてんだっけ?ゴリ助に。待っててあげる♪」

いきなりだけど、ボクは職員室がどこより嫌いだ。なぜかって言うと…。

「あ、ありがとう…。」

さっきボクを呼びつけたように、ボクに目をつけている生物の『越後 利祐(エチゴ トシヒロ)』先生がいるから。ちなみに、見た目は完全なゴリラ、おまけに女子へのセクハラは日常茶飯事の最低教師だ。

「陸は女の子みたいだから気をつけてね?」

「う、うん…。でも、それなんか複雑…。」

そんな性格と身なり。それに名前も、読み方を変えると『エチゴリスケ』となり、影で生徒からは『Hゴリ助』やら『ゴリ助』と呼ばれている。

「帰ってきたらいっぱい愛してあげる…♪」

うっ…それはそれでボク出血死じゃん。それはゴメンだ…。

「と、とりあえず行ってきます…。」

早く帰りたいし…さっさといって怒られてこよう。…いやだなぁ…はぁ。

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