《MUMEI》

ふと指先にあたった物。ラメニットで編み込んである十二センチほどの黒兎。あのとき偶然拾った物だけど、なんとなく持って来てしまった。それほど汚れてないし、blueの瞳がなんとなく気になって捨てようとは思わなかった。
 無造作にバックに括りつけながら消毒液をコットンに染み込ませる。傷みは生きてる印、体が覚えた神からの刻印。夢の続きはこれからよ…


この学校では自分の名前が彫られた十字架を身に付ける規則になっている。色や形はそれぞれ好きに選べて、金額もよっぽどでなければ文句は言われない。毎日忘れさえしなければ学校内の見回りをしてる先生に注意される心配もなく、本当に高校がそのまま清楚な紺色の服に替わり、生徒は少しだけ成長して表と裏にメリハリがついただけみたい。
 ルナはsilverに自分の誕生石であるpinkのトパーズがはめ込まれてる十字架のネックレスをいつも身に付けていた。
 別に神様一途ではないけど、これにすがってるとなんだか落ち着いた気分になれる。だから毎朝、形式だけでもお祈りはかかさない。

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