《MUMEI》

左の手首に巻かれた包帯、髪はリアルブラックのまま。流行りなんて私には関係ない。コピーな関係でいるより、独りだけの部屋に身を投げ出していた方が気がラクだ。ちゃらちゃらした人間にはまったく興味がない。長い髪をくしでとかして同じ次元を生きてるかの如く、いつもの行程をくりかえした。
 準備が終わったかなーと思ったとき、携帯にオルゴールの着信音が鳴った。すっかり目覚めたボディーパウダーをちりばめた体に制服をまとい、いつものお友達モード。私はいったいダレ?

「ルナ、もう起きないと講義に間に合わないよー」

 美羽からのメール。学校というところはカタチにこだわるところ。仲間を持たないといけないカタチ、勉強しないといけないカタチ、遊ばないといけないカタチ、プライバシーを守らないといけないカタチ。ただ疲れるだけのことを繰り返してないといけないくだらない日々。

「もう着替えたから、すぐ行く!」

 夏は包帯が目立つからイヤだな。私は気にならないけど、周りはそうゆう訳には行かないらしい。多分、美羽にもまた聞かれるだろう。ルナは大きなため息を付いて部屋を出た。

 陽射しを真上から浴び、眩暈がするほど異様な輝きに満ちあふれたこのworld、このときこの瞬間に誓う。

 いつかすべてを壊してしまおう!
心の闇は硝子のパンドラに眠る美しき神に宣戦布告した。

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