《MUMEI》

と思いながらも、実はうらやましく思っていたりもした。大きくなったらきっとぼくだけの信頼できる相手になることも当然解っていた。でもそんな弟の見舞いにさえもまだ行ってない。とゆうより会うのがこわい…

 事故で寝たきりの弟は生きたまま機械に縛り付けられ生かされているだろう。あんなに嬉しそうに付いてまわって来た弟が、まるで感情を無視された物扱いで。若くしてモノになってしまった状況を目の当たりにするほどの勇気を僕は持ってはない。
 心の隙間に入り込んだ一滴の哀しみは、ときとしてぼくの胸を締めつけ、涙の泉にどっぷり沈ませる影を持たない石の骸のようになっていた。それでも、これだけは伝えたい。

 ごめんユウヤ…

 部屋に篭もるようになってからは、ほとんど本を読んだりパソコンいじったりの生活だった。
学生の頃みたいに太陽の下で意味のない仲間とナンパまがいなことやっていた頃とはまったく違うけど、これも自分らしいのかと思うとホントに苦笑いだった。
 特にパソコンは一日中いじって、その中でも趣味で集めてた世界のナイフが載ってるサイトは何度もチェックして、欲しいと思いながらも、今の状況ではお金もない無理だとあきらめていた。要するにホームページのカウンターだけを増やしているとゆう訳だ。

「これも立派なバイトだろ?金払えよ」

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