《MUMEI》
魔女への気遣い
「あ〜・・」としばらく間を空けるとハンディングに向き直る。
「詳しく、聞かせてくれないかな?」
「解った。」
頷き、墓地で自分が見たことを話し始める。
数分後・・・
「だいたい解ったよ。ありがとう。」
真剣な表情で頷きながら礼を口にする。
「・・・確証が無いが、何かの役に立てばそれで良い。」
そう言うと展開していた魔法を消滅させる。途端に周囲に音が戻ってくる。
「我はこれで失礼する。すまぬな、彩詩。時間を取らせた。」
フードで顔を隠すと立ち上がり、背を向ける。
「待って。式夜と・・話さなくていいの?」
その背中に声をかける。
「我に式夜と話す資格など・・我が式夜の記憶を奪ったようなものなのだ・・何を話せと言うのだ。」
立ち止まるが、振り返りもせずに言葉を発す。表情を見えないが、声が震えている。
「君のお陰で式夜は生きてるんだよ。君が・・式夜を助けたんだよ。」
「・・・4年前の事件は我が使用した魔法のせいだ・・あの事件で式夜は記憶を失ったのだ・・我の責任だ・・」
フルフルと首を左右に振りながら答える。
「それでも・・式夜は貴女を慕ってるよ?貴女から貰った刀もずっと大切にしてる。少しくらい・・」
そう言いながら式夜を起こそうとする。
「そなたは・・本当にヒトの気持ちを無視するな。」
諦めたように振り替えると、式夜にかけて置いた魔法を解除する。
「そうでもしないとハンドはいつまでも式夜と話なんてしないくせに。」
彩詩は微笑むと、式夜を揺さぶり起こす。
「式夜〜起きろ〜朝、じゃなくて、とにかく、起きろ!!」
ゴン!と鈍い音がした。
「痛・・い・・」
式夜はボーっとした様子で眼を覚ますと頭を抑える。

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