《MUMEI》

ぼくのこと気付いてるのかな?怖くないかな?まわりからは変質者に見えないよなー

 まさか自分がストーカーまがいのことするとは思ってなかった。鼓動が次第に速くなってゆく。

 ドクドク…

 でも止めようとは思わなかった。どうしてだろう?顔も見てないのにおかしな話しだけど、スカイブルーな空を切り取って純白の光と融合する。その中に浮き上がる少女は、とっても自然で心地よくてーぼくはこの女の子が天空から生み落とされた申し子のように思えて仕方がなかった。そう、ぼくがこの女の子を託された、たったひとりの使者。そして思い切って少女に近付き、そっと微笑みかけてみせた。
 後ろからは白いドレスの様に見えた服装は、ただの綿に腕を通しただけの粗末な生地だった。腰まで伸ばした真っ直ぐな髪もボサボサ。でも小柄できゃしゃな少女は汚れたこの世に生まれて来てはいけないと思うほど透き通った儚げで氷の結晶で創られた、純粋な感情を封じ込めた人形のように美しかった。
そしてこんなぼくにもその透き通った眼差しで優しく微笑みかけてくれた。

 凄いな、君はアダムとイブが唯一この世界に生み落とした奇跡の天使。

 このときからぼくには守護天使が付いた。

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