《MUMEI》

花柄のミュールに高校のときから使ってるmiumiuのバック。バングルタイプのBvlgariは、包帯を気にしないで巻けるし、制服にも私服にも似合うから超便利。
 それにしても特にロングの巻き髪ウイッグはただのコピーに過ぎなくて、変装のためとはいえなさけくなってくる。しっかり付け睫毛もして着替えた姿は流石に美羽でも気付かないだろう。みんなと同じブランドを持つだけで馴染めてしまうから自分でもこわい。
 いやちがう?同じ物を真似して持ちたいなんて思いもしない。
 あーホントに、ただ此処に居るだけの行為がこれほどまでに愚かだなんてねールナ。

 他人の幸福なんてどっちでもいい。だって自分のしあわせすらどうだっていいのだから。幼い頃からそう思っていた。私を産んでくれたママにパパ、そしてたった一人の娘である私。宝石会社に勤めるパパとママは、

「宝石の輝きは本当に素晴らしいわ。すべての輝きは月の雫から与えられた宝物なのよ」

小さい頃から何度も聞かされたこのセリフ。生まれたときから美しいママの優雅な微笑みと、忙しい時間を縫って会いに来てくれるパパの愛情は当たり前のものだった。

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