《MUMEI》 すべてに恵まれた生活。荒れることのない空間。欲しいものは何でも手に入る他人が羨ましがる絵に描いたような安らかな国のお城のお姫さま。やみくもに掴んだしあわせとは違ってすべてに置いて底辺の出来上がった生活。でも、こんな安定した生活を誰が望んだのだろう? 物心付いた時期に知った。二人は私をただの宝石の一つとしか見ていないことを。ママはルナとゆう響きに憧れていただけ。いつも遠くを見たままルナとゆう名のゆえんを自慢気に話していた。 ママはいったいどこを見てたの?何を望んでたの?目の前の私はちゃんと見えてたのかなあ? 養子に入ったパパは周りに嫌われたくなかっただけ。宝石を眺めるママのことを気に入って、これが自分の選んだ輝かしい場所なんだと思い込み、少しでもソレてしまうことを恐れた。 いや、恐れることさえも出来なかったのかもしれない。まったく道化だよね。これが私の家族なんだ… 偽りで包められた紅いヴェールは、次第に私の心を蝕みはじめていた。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |