《MUMEI》

いつもの机とは別に仮のテーブルを置き、学校のときパーティーで使ったシルクの手触りのエメラルドグリーンの布をテーブルクロス替わりに敷く。
 その上には真鍮で創られたイエス様の模様の蝋燭立てに真っ赤な三本の蝋燭に灯火。真上の裸電球は消して、さあ儀式だよJUJU。
 まるでクリスマスみたいなセッティングに心なしか少女は嬉しそうに微笑んでいた。白い横顔が暗い部屋にふわりと浮かんで幼い少女を一瞬だけ大人に魅せる。
 最初はぼくから。妖しい光に惹き込まれるように、自分の手首から切った。もちろんこんな経験はない。でも、不思議と何も考えないでうっすらと三センチほど切ることができた。そしてJUJUの番。

「ぼくがやって上げよう」

 何も言わなくとも少女はぼくと同じ左手を祭壇の上に差し出した。スーっと滑るように刃先は小さく白い肌をなぞった。そして儀式はクライマックスを迎える。
 紅い血の滴り落ちるJUJUの手首にぼくの手首を重ね合わせる。真っ赤な誓いは永遠を伴い、どんなことがあってもJUJUを守り抜くとゆう使命を揺るがすことはなく、ぼくはそっとJUJUの頬にkissをする。
 厳かな儀式は陽の落ちる頃に行われた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫