《MUMEI》
「あれ?もう食べ終わったの?」
「う、うん…」
「美味しかった?」
「さ、最高…」
「うわ〜!うまそ〜ッッッ!いっただきま〜すっ!」
聖ちゃんは勢いよくステーキを口にほうり込んだ。
「ん、美味い!肉もい〜けどソースもたまんねーっ!」
「だ、だね…はは…」
「ん?このソース梨入ってる?ねー多分そうだよね?」
「はは…そうかな?」
「もー貢は!がっついて味わわねーで食ったんだろ」
聖ちゃんはそう言うとフォークで伊勢海老の身を突いて口にほうり込んだ。
目を細めて咀嚼する。
ライスを食べる。
またステーキを食べる。
…ああ…。
ああ……
美味しそうだ…。
がっついたさ。めちゃめちゃがっついた。
ろくすっぽ噛まずに海老フライもハンバーグも飲み込んで俺はクマさんプレートを隣のテーブルに置いた。
そして俺の前にあったグラタンもステーキも聖ちゃん側に並べた。
凄く凄く後悔しながら……。
コンビニ弁当とさほど変わらなかった食事内容に胸を詰まらせながら…。
前へ
|次へ
作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ
携帯小説の
(C)無銘文庫