《MUMEI》

茶々丸とはほとんど会話もしたこともなかった。仲間とは言ってもあっちにこっちにグループがあって、それを大きく仕切ってるのがこいつ。ぼくはどこのグループにも所属しなくて、気まぐれにフラリと現れたりしただけ。
たとえいい加減でよかったとはいえ、どう考えても好きにはなれないヤツは数人いた。そしてこいつがその中の特別な一人だ。
 色が斑な金髪にゴールド系の貴金属をジャラジャラさせてヘラヘラ笑っている、耳だけでなく鼻にも口にもピアス。

 いったいこいつ幾つピアス空けてるんだ?
数える気さえ起きない。センスがあるんだか無いんだか、中近東の悪徳商人を絵に描いたような男。こいつだけはどう考えても仲間と呼びたくなかった。もちろん仕切ってるリーダーだから、逆らおうとも思わなかったし。ぼくはズルイから上辺だけでも上手くやってゆこうと思ってたけど、絶対にいい死に方はしないだろうなーって思っていたことだけは覚えている。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫