《MUMEI》

ニヤリと笑って切れ長の目で企みの視線をぼくを向ける。耳と鼻、笑うと舌にもピアス。唇は食う物何でも金具の味がしそうな丸いピーリングが右と左で五つ。首にも大きな黒皮に銀の鎖付き首輪、こいつは犬か?
 腕には金ピカのロレックス、多分ホンモノだろう。指にまで金と銀の蛇に、何か大きな石が乗っかっている物まで。こいつ歩く悪徳卸業者か?気分が悪くなりそうだった。

 あーやっぱりこいつキライだ…

 とりあえずアイドルやモデル系の子を連れて来たら、レベルに応じて三ー五万渡すとゆう約束をした。茶々丸のことだ、多少はピンハネは仕方がない。手っ取り早い方法はこれしか思い付かない。とりあえず引き受けてみるしかないだろう。
 ガムを噛みながらシガレットを口の端にくわえ、暑いからだろう昼間っから瓶ビールを飲んでる。後ろには危険を絵に書いたような若い取り巻きが所々を陣取って待機していた。
 ぼくは大きなため息をひとつ付いてから、茶々丸と出来るだけ視線を合わせないようにして了解の合図をした。

「連れて来た女をオレに渡してくれたら金と交換だ。それから先のことはおまえは気にしなくていい」

 ヘタリと一瞬笑ったかと思ったら、急にギラリと肉食獣の目付きをする。そしてすぐにまただらしのない表情に戻り、口元を斜めにしたまま、

「まあ、仲間とまわしたあと金持ちに渡して薬浸けにして」

 なんら悪いとゆう気もなくひょうひょうと話す茶々丸に、どうなろうと後からのことなんて関係ないーと思ってたぼくも、つい口を開いてしまった。

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