《MUMEI》

「おまえ、狂ってる…」

一瞬の間があって細い目が見開き、驚きにも喜びともとれる表情に変わった。そして今度は、

「おまえ変わってないな」

と堪え切れなくなったみたいに茶々丸の大笑い。よっぽどぼくから言葉が出たのに意表をつかれ、しかも彼的にはウケてしまったのだろう。先手を切って発した言葉はぼくからなのに、ナゼか負けたような気がして黙り込んでいるとー

「オレが狂人なら、おまえは偽善者ってとこか」

一瞬この言葉にショックを受けたと思ったけど、すぐに納得してる自分が此処にいた。

 僕はいつの間にか何時間かかるかわからないこんなバイトに夢中になっていた。
 アイドルでもモデルでもいい、とにかく多少レベルは落ちてもそれっぽい女の子なら三万くらいにはなるだろう。
 夏は終わり頃だとゆうのにまだ残暑が照りつけていた。夕方過ぎまでねばったけど、そんなに思うようにはいかない。もう薄暗くなりかけてるのにTシャツはすっかり汗ばんでる。しかも引き篭もりのぼくにとってはすごく久し振りのバイト。もう疲れたやら馬鹿馬鹿しくなってくるやらで、ひとまず引き上げることにした。

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