《MUMEI》

これも運命の出会い、さゆり悪いな。

 なんとなくボソっと捨てセリフを吐いて右に体を傾け、さっきまで居た部屋を覗き込んだそのときーぼくは凍りついた。
 完全に深い眠りに入ってるハズの彼女が何故か目を覚まして、ルームウエアのまま部屋の扉から出ようとしているとこだった。

 どうして?

 珈琲を飲んでるときは確かに寝息を立てていた。扉も物音立てずそっと閉めたハズなのに、気付いてしまったのか?

 冗談じゃない!面倒なことになりたくない。ぼくが今いなくなってしまえばすべてが上手くゆく。もし逃げたと感ずかれたら、気があるだけにやっかいだ。今の彼女になら、ぼくが逃げたとゆうことさえ思い付かないハズだ。この場から消えさえすれば、お金も入る。明日にでもさっき説明したモデル事務所に電話して、コンタクトと取ることは間違いないだろう。そしてあいつのおもちゃになることは目に見えてる。

 やっぱり、このまま姿を暗ましてしまった方がいい。

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