《MUMEI》

少し覗き込んでやっと見える隠れたベット辺りには、ピンク色のシルクシーツに金色のアジアンな模様。反対側にはオープンタイプの衣装掛けに、部屋まで続いてる玄関の大理石が敷かれてるかのように見えた。

 いったい、この部屋いくらするんだろう?

 ぼくは貧乏性なとこがある。だから冷静になると金額のことを考えてしまう。そしてつい恥じてしまうことをまた勝手恥じてしまっていた。
 何分ほどそんなことを考えていたのだろう。なんとなくこの場に落ち着いてしまっていた。五十センチの幅に馴染んでしまっていたけど、そろそろ出なくてはーとぼくは思い直し、両手を床に付いてゆっくり起き上がった。

 とりあえず難は逃れたな…

 やっと脚を伸ばして一歩を踏み出そうとしたそのとき、またしても足音がこっちに近付いて来た。まさかさゆりがずっと待ってたのか?

 ウソだろ?勘弁してくれよ。

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