《MUMEI》

あーなんだかエロチック。

 ぼくはのん気にそんなことを思っていた。
ラストは、ホテルにあった幾つかのタオルを手掴みで持って来て、ほどよい大きさを選び男の口元にグっと押し込む。
 流石に寝ようとしてる男にも異様な状況が把握出来てきたみたいで、何か焦って言ってるけど塞がれた布で声を出すことは許されない。そしてその瞬間、ぼくは凄い光景を目の当たりにしてしまうことになる。
 
 ゴツ!

 鈍い音が涼しげなグリーンの空間を、一気に恐怖の森にかえてしまった。

 ウグ…


 男は焦って何かを叫ぼうとする。

 二度、三度、四度…

 無表情で行われる光景は異様なものだった。男がどんなにあがいても泣き顔を見せても、彼女のピンヒールの攻撃が止まることは無い。痛みと助けての歪んだ表情が顔の輪郭さえも変えてしまう。

 ウグ…

 やがて片方のピンヒールはもげ、再びもう片方の脚がドロリとした血と汗の混じった体を滑りながらも何度も突き刺す。

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