《MUMEI》

ベビーフェイスでまだ子供っぽいはずなのに、ふっくらとした胸と腰のラインは大人と比べても引けを取らないほど未来の美を約束されていたルナ。体はしっかり成長している最も旬な時期。せめて要領が良かったり愛想のいい女の子だったらくぐり抜けられたのかもしれない。媚を振ることないルナに残された現実は、冷たい仕打ちだけだった。
 働いてる従業員たちも、自慢の由緒ある施設で首にはなりたくない。預けられてる他の子供たちも、流石に先頭切って虐められる道を選ぶほどバカではなかった。それに従うしかなかったーとも言える。味方をすれば我が身が危ない。同情とも取れる視線も混じってルナはは険悪なイジメと容赦ない嫉妬と哀れみの標的になった。
 ほとんど表に出てこない園長の目を盗んで、虐めは日々行われた。何事も「ハイ」と返事しないと棒や物で叩かれる。時には奥の暗くほこりのかぶった倉庫に閉じこめられ忘れられて食事を食べることが出来ない日があったりー
 施設に似つかわしくない服装は園長に買ってもらったと気付いた後妻の手によって、熱い飲み物や残飯などをぶっかけられたり。そして、汚れたからもう着られないわねと、あっさり真新しい服を処分されてしまう。繰り返し行われる仕打ちにルナは最初に着てきた小汚い一枚だけを、とっかえひっかえ着るしかなくなっていた。

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