《MUMEI》

お風呂に入るタイミングはわざとズラされ結局入りそびれてしまう。それを同じ施設内の子供たちは汚いと野次る。ルナと呼ばれてる名前も、まがい物と同じ価値にしか思えなくなっていた。もう、なんだかどっちでもよくなっていた。思考は壊れ恐怖より無の感情だけがルナを支配していった。
ドロリとした液体はより成長し後頭部からゆっくりと体中を包み込み、やがて孤独の深海へとどっぷり満たしてゆく。でも何も苦しくはない。まるで赤子が体内にいるかのように、飴色の液体に抱かれてそっと眠っている。

 私は汚れたモノなのだから…


 それでも園長先生の前でだけは悟られないように、いつもの眼差しを絶やさない努力をしていた。
 
 イジメ、憎しみ。ウソの微笑み、嫉妬、シカト、孤独、無情、堕落、無表情。

 殺意を超えた闇、自虐的な発想、二重人格の入り口、泥で創られたもろい人形、許せない感情を押し殺してしまった別次元の記憶、漆黒の瞳の奥に潜む別人格の現れ。

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