《MUMEI》

私はすべてを脱ぎ捨てこの洗礼を受け入れて、イヤなことはすべて忘れられる。無かったことにしてくれる偉大さを持ち備えている。涙の断片は子宮からはがれ落ちた私とゆう塊を、そっと救い上げ優しく頬ズリしてくれる。たとえ一瞬でも生きていてよかったのだとゆうことを海の香りと共に教えてくれる。

 ありがとう夏の終わりと波の揺れ。すべてを支配されたこの水の中で独り祝おう。

秘密の儀式、神聖な静寂ワールド。

星の光りだけを頼りに軽くなった体に自由を与える。潤いを体内に取り込み孤独を滴に変換してゆく。新たなるモノが残像を掻き消し透明にしてゆく。海底の色鮮やかな世界が私と一緒になって泳いでくれている。優しいひととき憂いある空間。

いっそ人魚に生まれて来ればよかった…

 一時間ほど立っただろうか。夜が明けて来る、そろそろ引き上げよう。そんなことを考えながら海に溶け込み漂っているそのとき、
私は確かに見つけた!

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