《MUMEI》

それからとゆうもの、琥珀はずーっとルナにつきまとった。まるで神秘的な顔を貼り付けたクールなストーカーみたいに。でも何も話しかけて来ない。
 たとえばホテルでの出来事を責めたり、男を拾うなとも言わない。ひたすらつきまとうだけ。マンションの一番上九階に住むルナの部屋の前辺りまで来ても、決して中に入ろうとしたりしない。二人だけになってしまうエレベーターの中でも自然に離れて立ってるだけ。どうやらルナが部屋の鍵を開けて中に入るのを確認してからしばらくして自分も帰るみたいだ。

 何?変はヤツ!

 ベタな探偵のアルバイトでもしてるのだろうか?それにしても、流石にこれでは変装して渋谷に行くことも出来ない。別に一緒に居る訳でもないし、もちろん彼氏でもないのだから気にすることなどないのだけどーなんとなく行き難い。
 一度だけ知らない男性に声をかけられたとき、琥珀が歩み寄って来る姿が視界からなんとなくわかった。そしてシカトし続けられたその男は、ナンパが出来ない悔しさで罵声を上げてどこかへ消えて行った。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫