《MUMEI》

流石にこんな時間、部屋に戻ってるかもしれない。とにかく何か結論付けて早く落ち着きたかったのかもしれない。
 安易にそう推測したぼくは甘かった。エレベーター横のエントランスに差しかかったとき、何気にポストを覗いてみた。
たまったままの郵便物、少なくとも数日は帰っていないことは間違いなかった。

一瞬ずうーっと心配していたせいか、何か事件にでも巻き込まれたのではないか?と胸が急に苦しくなった。
 でも、先走ってはいけない。ぼくはまだ知り合ったばかりだから、ぼくの知らない友達の家に泊まってるとかも考えられる。
 いつもみたいに渋谷で獲物が立て続けに捕まって、そのまま帰らないでいるとか。たまにクラブに遊びに行ったときもあったから、まあぼくは表で出入りする客に睨まれながらひたすら待っていたのだけどーその連れとオールしてるとか。ふと浮かんだ感情に嫉妬が混ざってることを琥珀はしっかり覚えていた。余計な想像が入り混じりながらも、とにかくルナの確認がほしいとだけ願った。

 翌日、琥珀は昼過ぎから行動していた。聖霊女子学園前、ルナを探すとゆう目的。まずは真夜中のクラブより先に学校に通っている、とゆうことの確認。ぼくは本格的に探偵になった気分で、ほんの少しだけ舞い上がっていた。
 高校とゆう子供で少女な時期を過ぎた大人になるほんの一歩手前の女の子たちには独特の雰囲気があって、ぼくには近付いてはいけないオーラが漂いまくっている。
 それに此処はあのキリストの学園。ルナが身に付けていたピンクとシルバーのcrossに名前入り。しっかりローマ字で名前を入れておかないといけない決まり、まずこの学園に間違いがないと確信した。

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