《MUMEI》

息なり直行な質問が飛んで来た。お前は芸能レポーターか?

「まあ…」

 なんとなく濁った返事をしただけなのに、

「ああ、やっぱりねー」

 とっても納得した顔をして満足そうに手を拭きながら椅子にもたれかかる。そしてフーっと息を吐いたと思ったら、せきを切ったように話し始めた。

 なんだ上品さは見かけだけか。

 どうやら聞いてもらわないと我慢できない性質らしい。こっちとしてはルナのことを聞き出したいだけだから、都合いいのだけど。

「この前、学校でルナがバックに付けてたのよね。この黒い兎の編みぐるみ、お守りで今流行ってるんだけど知ってた?」

「う、うん」

 曖昧な返事をする。多分こっちの反応なんてどっちでもいいのだろう。

「あんまりテレビとか見ないのかな?」

 口を尖らせた表情はまるで親に叱られた子供だ。

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